美と健康

BEAUTY AND HEALTH

骨の健康について、普段意識することは少ないかもしれません。しかし、健康な生活を送る上では骨のことを意識せざるを得ないでしょう。骨の代表的な病気に、骨がスカスカになってしまう骨粗しょう症があります。骨折のリスクが高まる恐ろしい症状ですが、近年、血液とも大きな関連があることがわかってきており、骨粗しょう症が、高血圧や、動脈硬化を引き起こすことが明らかになってきました。

骨の健康を保つためには、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などのミネラルや、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、ビタミンKなどのビタミン、そして抗酸化物質などの栄養素が必要です。日本での骨粗しょう症の推定人数は約1100万人と言われていますが、予備軍まで含めるとその数は2000万人にものぼり、さらに近年は若年層も骨粗しょう症にかかる人が増えています。不健康な骨とならないように、これから骨について詳しく見ていきましょう。

骨とは?

骨は、リン酸カルシウムという硬い物質と、コラーゲンというタンパク質からできており、私たちの体を支える働きをしています。また、脳や心臓などの重要な臓器を保護する働きも担っています。 広く理解されている骨の役割は、こんなところでしょうか。しかし、実は骨には他にも大事な役割があります。

  • 血液を造る
  • 血中カルシウムの貯蔵、調節

血液は骨の中で作られているのです。このため、近年の研究により骨と血の動態に深い関連が見られることがわかってきました。骨がどのようにつくられるか、という話とあわせて、これらの役割についてもお話いたします。

骨の形成

骨は、硬くてしっかりした構造体なので、作られたらそのまま、というような印象をもたれるかもしれませんが、実はそうではありません。骨には、骨をつくる細胞である骨芽細胞と、骨を壊す細胞である破骨細胞が存在し、骨を作っては壊し、作っては壊し、を繰り返しているのです。立派な建築物も、いつかは劣化してリフォームが必要になるように、骨も作りっぱなしでは劣化してしまいます。骨は、骨芽細胞と破骨細胞がバランスよくはたらき、絶えず再生と破壊を繰り返すことで、いつでも十分な強度を保っていられるのです。

血液を造る

骨の中にある骨髄には、造血幹細胞という細胞があります。この造血幹細胞は条件次第で赤血球、白血球、血小板などのあらゆる血液成分に変化することができます。なお、この変化を起こすまで細胞を保持する場所(ニッチという)を提供しているのが、骨芽細胞であるとされています。

また、骨芽細胞が作り出すタンパク質である、オステオカルシンには血糖値を下げるホルモンであるインスリンや、脂肪の燃焼を促進させるホルモンであるアディポネクチンの分泌を増加させる働きがあることが報告されています。これらのことから、骨の健康を維持することは、血の健康を維持することにつながる、ということが考えられます。

血中カルシウムの貯蔵、調節

骨がリン酸カルシウムの塊であることはすでに述べましたが、実は骨はリン酸カルシウムの塊としてカルシウムを貯蔵しているのです。 カルシウムは、細胞内の情報伝達や、筋肉の収縮など、生命活動にとって非常に重要な役割を果たしているため、血液中の濃度は常にほぼ一定となっています。骨に貯蔵されたカルシウムは、血中カルシウム濃度の調節に用いられます。すなわち、血中カルシウムが多くなった場合は、骨として沈着させ、血中カルシウム濃度を下げます。逆に血中カルシウムが少なくなった場合は、骨のカルシウムを血中に溶かし、血中カルシウム濃度を上げるのです。

骨が悪化すると?

骨の悪化というのは、すなわち骨が折れやすくなった状態のことです。骨の強度は、骨密度と骨質の2つの要素で決まると考えられています。

骨を鉄筋コンクリートに例えてみると、骨密度にあたるのはコンクリートの密度です。すなわちリン酸カルシウムの密度にあたります。骨質にあたるのは、鉄筋の強度です。骨の成分で鉄筋にあたるのは、コラーゲンです。骨の中では、強度を増すために、コラーゲンどうしが橋かけをして結合しています(架橋)。しかし、この架橋構造には正常なものに混ざって、悪性のもの(手抜き工事のようなもの)が存在し、この悪性の架橋が多くなると、骨質が悪化するのです。この悪性の架橋をつくるのがペントシジンという物質です。このペントシジンは骨質を低下させるだけでなく、骨芽細胞が作られるのを阻害し、骨密度も低下させます。ペントシジンは活性酸素の増加や、高血糖により増加し、それによってどんどん骨がもろくなっていきます。また、ペントシジンと同様にホモシステインという物質も悪性の架橋をつくるのに関与しているとされ、研究が進んでいます。

また、加齢によって食事がとれなくなってくると、カルシウムの不足などにより骨の再生が遅くなり、また、血中のカルシウム濃度が下がると、骨からカルシウムが血中に溶け出るのでさらに骨密度は低下していきます。 さらに、加齢による女性ホルモンの低下も骨密度に関係しています。 女性ホルモンが低下することによって、破骨細胞が必要以上に働き、骨の再生と破壊のバランスが保たれなくなっていくのです。これは女性ホルモンの働きによるものなので、言わずもがな女性に顕著に見られる傾向ですが、男性にもわずかに女性ホルモンは存在し、同様のことが起こっています。

骨を改善するには?

重要な栄養素として、

  • カルシウム
  • マグネシウム
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • 葉酸
  • ビタミンB6
  • ビタミンB12
  • ビタミンK
  • 抗酸化物質

があります。特に野菜から多く摂取できるものとしては、

  • カルシウム
  • ビタミンC
  • 葉酸
  • ビタミンK
  • 抗酸化物質

があります。以下でその働きを見ていきます。

カルシウム

前述のとおり、リン酸カルシウムが骨の主成分であり、カルシウムはその材料となります。リン酸カルシウムは骨密度を規定する大事な要素です。カルシウムを多く含む食品には、イワシやワカサギなどの小魚、牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐、納豆などの大豆製品、小松菜、チンゲン菜などの野菜があります。

マグネシウム

マグネシウムは体の中のあらゆる化学反応の手助けをするという役割をもっている重要なミネラルです。多くはリン酸マグネシウムとして骨に貯蔵されており、カルシウムと同様、血中の濃度が一定になっており、血中マグネシウムが不足すると、骨からマグネシウムを溶かしだして血中濃度を安定させます。また、リン酸カルシウムに比べると骨中の量は少ないものの、骨強度を高める働きもあります。カルシウムの代謝の制御に関わり、不足すると骨代謝が円滑に進まず、骨そしょう症のリスクを高めると言われています。マグネシウムを多く含む食品には、ダイズ、エダマメなどの豆類や、アーモンドなどのナッツ類があります。

ビタミンC

ビタミンCはコラーゲンの合成に必要とされます。ビタミンCが不足すると、骨において鉄骨の役割を果たしているコラーゲンが不足し、骨がもろくなってしまいます。また、ビタミンCは抗酸化物質としての役割も果たします。これにより骨を酸化ストレスから保護してくれるのです。ビタミンCを多く含む食品には、ピーマンや、かぼちゃ、ジャガイモなどの野菜や、レモンなどの果物があります。

ビタミンD

ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収を促進する効果があり、不足しがちなカルシウムを効率的に摂取するのに役立ちます。また、尿からカルシウムが排出されるのを抑えるためカルシウムを有効に利用することができます。ビタミンDは鮭や、サンマなどの魚や卵黄、きのこ類にも多く含まれています。また、ビタミンDは食品から摂取するほか、日光を浴びることで皮膚が合成することができます。日本の日光の強さでは、1時間も日光を浴びれば十分な量のビタミンDを得ることができるでしょう。

葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12

この3つの栄養素は骨に対しては同じような働きを持つので、まとめてご紹介します。 私たちが生きるのに必要なアミノ酸のなかに、メチオニンというものがあります。これ自身はコレステロール値を下げたり、活性酸素を取り除いたりといった効果があるのですが、肝臓で代謝される過程で、ホモシステインという物質を生成します。葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12はこのホモシステインの代謝に関わります。この3つの栄養素が不足するとホモシステインがうまく代謝されず蓄積されます。ホモシステインは骨中のコラーゲンに対し悪性の架橋を作ったり、活性酸素を生成したりして骨そしょう症のリスクを高めるのです。葉酸はホウレンソウ、ブロッコリー、メキャベツなどの緑黄色野菜に多く含まれています。また、ビタミンB6はマグロやカツオなどの赤身魚や鶏肉に多く含まれており、野菜ではにんにくや、かぶに多く含まれています。ビタミンB12はサンマやイワシなどの魚介類や、肉のレバーなどに多く含まれています。

ビタミンK

ビタミンKは骨の形成に関わるオステオカルシンというタンパク質を活性化する働きがあり、これによりオステオカルシンによる骨芽細胞の生成が促進され骨密度が増加します。また、ビタミンKはコラーゲンの合成を促し、骨質の向上にも関与します。

抗酸化物質

活性酸素は血中のペントシジンを増加させることが報告されています。これにより骨中の悪性架橋が増加し、骨質の低下を招きますが、抗酸化物質は活性酸素を減らし、これを防ぐといった効果が期待できます。代表的なものに、ニンジンに多く含まれるβ-カロテン、ブドウやブルーベリーに多く含まれるアントシアニンや、トマトに含まれるリコピンなどがあります。また、ビタミンCは抗酸化物質としても作用することが知られています。

適度な運動

骨の強化には運動が欠かせません。骨に多少の付加を与えることで、骨量が増加することが知られています。しかし、過度な運動は、回復が難しい軟骨に損傷を与えたり、特に女性では、運動性無月経という症状に陥り、女性ホルモンの減少によりかえって骨量が減少してしまう恐れがあります。それでは、適度な運動とはどのようなものでしょうか?

運動の強度を計る指標として、メッツ(METs)というものがあります。これは安静時の消費エネルギー量を1として、ある運動の運動強度を相対的に表したものです。厚生労働省によると、強度が3メッツ 以上の身体活動を1週間に23メッツ・時(1メッツの活動を1時間行うといメッツ・時)以上行うのが望ましいとされます。例えば、普通に歩いた場合、3メッツの運動強度となりますが、これを1時間続ければ3メッツ・時となります。以下に、一般的な身体活動のメッツ表を記載しますので、参考にしてください。

ひとまずはこの目標を達成できれば、適度な運動を行ったということが言えるでしょう。

まとめ

骨についてまとめてみましょう。

  1. カルシウム、マグネシウム、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンKにより骨量を増加!
  2. 葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12ビタミンK、抗酸化物質により骨質を改善!
  3. 適度な運動で強靭な骨を!

骨強度=骨量(骨密度)+骨質!
常にこれを意識して、骨を健康に保ちましょう。