栽培法

CULTIVATION METHOD

高い栄養価を求めて

栄養価の高い野菜とは、すなわち健康に育った野菜であると考えられます。 植物も自身の成長や生存のために栄養成分が必要なので、健康に育つためには栄養成分を蓄える必要があるからです。 では植物を健康に育てるためには、どうすればよいでしょう? 難しく考える必要はありません。私たち人間が、健康に生きるのと同じように考えてみましょう。

人間が健康に育つには、適度に環境ストレスにさらされることが必要です。怪我をしたり、病気にかかったりすることもありますが、そのたびに免疫力をつけ、強くなります。植物も環境ストレスによって、それに対抗するため様々な反応を起こすことが知られています。 また、人間が暴飲暴食をすると健康に悪影響があることはよく知られていますが、植物も食事はゆっくり行うほうが健康に育ちます。例えば、窒素成分を一気に摂取しすぎると、植物はひょろひょろと育ち(徒長と言います)弱々しくなってしまいます。

そして、人間にとって腸内細菌が健康にとって重要な役割を果たしているのと同様、植物にとっては土壌菌がとても大切です。土壌菌のバランスが崩れ、病害菌が増殖すると植物は病気にかかってしまいます。土壌菌のバランスが整うと、有用な土壌菌、例えば放線菌が増えてきますが、放線菌が分泌する酵素であるキチナーゼは、病害菌に多い菌類の細胞壁のキチン質を分解し、病害菌の繁殖を抑制します。これにより、さらに病害菌をおさえこむことができるのです。

私たちは、これらのことを踏まえて、植物が健康に育つこと、ひいては栄養価の高い野菜が育つことを意識して栽培を行っています。

環境ストレスが作る栄養素

植物に含まれる栄養素として重要なものに、ポリフェノールやカロテノイドなどの抗酸化物質があります。我々にとって、これらの抗酸化物質が健康によい、ということがわかってきましたが、植物にとってもまた同様に重要な役割を果たしています

それは、様々な環境ストレスへの対処です。

他の生物と同様、植物は温度、強光、乾燥や虫による食害、病原菌の侵入など、様々な環境ストレスにさらされています。加えて、植物は動物と違って移動によりこれらのストレスを避けることができません。なので、様々な手段を用いて植物は自分を守っています。その手段の一つに抗酸化物質があるのです。

例えば、紫外線の照射により果実の着色が促進されることが、様々な植物でわかっています。これも紫外線により植物体内に発生した活性酸素を除去しようと、植物が抗酸化物質を生み出した結果だと考えられるでしょう。

他にも、植物は虫による食害を受けたり、病原菌に侵入されたりすると、虫を遠ざける物質や、病原菌の生育を抑制する物質を作ります。このようにして植物が作る物質はファイトアレキシンと呼ばれ、人間にも様々な生理活性があるとして、研究が進められています。このファイトアレキシンの多くはポリフェノールなどの抗酸化物質なのです。

農薬によって虫を殺さずにいれば、多かれ少なかれ作物は虫に食べられてしまいます。しかし、虫による食害のおかげでこのような栄養素が増す、ということも考えられるのです。

実際、農薬を使用した野菜に比べ、有機無農薬栽培では抗酸化物質が増加したという報告もあります。

さて、このファイトアレキシンですが、『毒性を持つものがあるため、危険だ』とする論調もあります。しかし、本来薬と毒は紙一重で、個体に対しての量によって薬として作用したり毒として作用したりするだけのものなのです。例えば、ダイコンやカラシに含まれるアリルイソチオシアネートという物質がありますが、適量ならば抗ガン活性があるなど として知られるファイトアレキシンです。しかし大量に摂取すれば胃腸炎などの障害を起こします。要はバランスの問題で、いろいろな食べ物を適量だけ食べるようにしていれば、このような障害を心配する必要はないでしょう。

我々は、慣行の農法によって防がれる環境ストレスは、植物にとっての害ではないと考えています。人間も、怪我をしたり、いろいろな病原菌にさらされたりしたほうが、免疫力が向上し強くなるように、環境ストレスも接し方次第では、美味しく栄養価の高い、価値のある野菜の生産につながるものと考えています。

まとめ

  1. 健康な植物が高い栄養価をもっている

    過保護すぎない植物栽培を

  2. 適度な環境ストレスを与えることで植物が生み出す生理活性物質は、私たちにとっても効果がある